買うか!?
買っちゃうのか?オレ!?
と言うか・・・
予約した
いいぞ!いいぞこの決断力!!
以前のバイクを手放してから約2年・・・
時は来たのだ。
こうなれば黙っていられない。
早速、大好物の寿司をつまみながらバイク仲間に抑えられないこの気持ちを語ることにした。
「ついにやったよ」
「何をだい?」
彼は僕の話を左耳で聞き流し、まるでメリーゴーランドのように回る寿司の鮮度の見極めに余念がない様子だ。
「2013年モデルのカワサキだよ」
マグロの見極めを途中でやめた彼はゆっくりとコチラを振り返った。
「それは真実かい?」
「ああ、もう予約済みだ」
モトクロスを心から愛する僕らの間に多くの言葉は必要ない。
それだけで何を意味するのか察するのだ。
「よし、お前に新しいモトクロスコースを見せてやる」
最後のマグロを口に押し込むと彼はおもむろに席を立った。
なにやら仲間達と専用コースを密かに作っていたらしい。
某所に到着するとそこには手作り感満載な、しかし作り手の思いが入っているとてもいいモトクロスコースが広がっていた。
彼はひとしきりコースの難所と攻略ポイントを教示すると
「じゃあ、銭湯に行こう」とドロドロになった靴を僕の車のタイヤで落とした。
しかし車に乗ったはいいが動かない・・・
昨夜の豪雨で道がぬかるみスタックしてしまった。
早くコースが見たいと、はやる気持ちが駐車位置の判断を鈍らせていたのだ。
辺りには何もなく、すでに真っ暗状態。
「ヤバイ気配だ」
しかしそんな緊急時の身体能力は心理的限界を超え、限りなく生理的限界に近づける。Tシャツとズボンをドロドロにしながら何とか車を押し進めた。
日頃
「何のために鍛えてるの?」という嫁の幾度の質問に一矢報いた気分だった。
アスファルトの道路に出ると2人は安堵のため息をついた。
「38のおっさん2人で何やってんのよ・・・」
しかしこの
清々しさとワクワクした気持ちはどうだ。
車の窓を全開にした少しぬるい風は僕らの口を黙らせた。
服はドロドロだが心地いい気分で銭湯に着いた。
銭湯の入り口から見えた僕らの姿に嫁たちは眉をひそめてこう言った。
「・・・なにやってんの?」
男はサイテーでサイコーだ、
男ですみません。
ジョージアCM