「もう間もなく・・」
寒空の中、月食の様子をずっと見ていた深夜12時頃・・・
祖母の
91回目の誕生日
アロチの「あじや」さんで
お祝いと銘打った親戚
忘年会が開催された。
(ここの料理は最高の魚がいただけます
)
大将は一見職人ですがお酒が進んでくると最高におもしろいことになっちゃいます
「もう間もなくやな」
この一声でみんな店を出て月食の瞬間を待っていた。
「あとちょっとで皆既月食やな~」
「今回みたいな良い条件で見られるチャンスはそんな無いみたいよ」
「ホンマ!?ラッキー!」
もう少しで月全体が隠れる。
そろそろカウントダウンか。
「しかし、寒いね・・」
上着の襟を立て、腕組みをしながら夜空を見上げなおした。
「え?・・・なんか・・かけてる月でっかくなってない・・?」
「ん?・・・そうか?」
「いやホンマや、でっかくなってきてるやん・・」
その瞬間が
すでに終わっていることに気づいたのは身体も冷え切った
次の日の事だった。
「・・・じ、じゃあ次の皆既月食は・・・?」
「今日みたいな条件で見られるのは2030年らしいよ」
僕らはとにかく中に入ってもう一度飲みなおすことにした。
ばあちゃん・・・ハッピーバースデイ。
91回目の誕生日は最高の夜になったね。
チャンスは平等にやってくる。
しかし結果は平等ではない。